EPA看護師候補者教育 ~看護師候補者とともに~
~状況設定問題~
Aさん(63歳 男性)は、体重減少と黄疸を主訴に受診した。検査の結果、総ビリルビン2.7mg/dL、直接ビリルビン2.5mg/dL、(基準値0~0.4mg/dL)赤血球452万/μL、AST(GPT)40IU/L、ALT(GPT)38IU/L、尿素窒素(BUN)18mg/dL、アミラーゼ280U/Lであった。また、超音波検査により無痛性の胆嚢腫大がみられた。
【問題1】Aさんの検査結果から考えられる疾患はどれか
1.肝炎
2.膵臓がん
3.腎不全
4.溶血性貧血
5.胆石症
正答
1.✖ AさんのAST(GOT)とALT(GPT)のデータからは肝機能の低下はみられないので、肝炎は考えにくい。
2.〇 症状や検査データから、膵臓癌を発症していることが考えられる。特に、直接ビリルビンが上昇していることから、閉塞性黄疸が起こっており、膵臓癌の中でも膵頭部癌を起こしていると考えられる。
3.✖ 尿素窒素(BUN)が基準値内であり、Aさんのデータでは、腎機能は正常であるため、腎不全は考えにくい。
4.✖ 溶血性貧血であれば赤血球が大量に破壊されるため、老廃ヘモグロビンの代謝によって産生される間接ビリルビンの上昇(基準値0~0.8mg/dL)や赤血球の低下等がみられる。しかし、事例にはその所見がないため、溶血性貧血の可能性は低い。
5.✖ 胆石症では、痛みを伴う胆嚢腫大を起こす。
EPA候補者は1名が正解し、1名は選択肢1を選んで不正解でした。逸脱している検査データがよくわかっていなかったのが原因です。検査データの基準値を覚えるように説明しました。私が基準値を話してもすぐ忘れます。自分で苦労して調べて初めて理解につながっていくと考えます。
【問題2】下線部より考えられる症状はどれか
1.カレン徴候
2.ケルニッヒ徴候
3.クールボアジェ
4.ラセーグ徴候
正答
1.✖ カレン徴候は急性膵炎の症状であり、出血や壊死が生じている重症所見では腹腔内の血液浸出液が臍周囲の皮下に斑状出血を来すことをいう。
2.✖ ケルニッヒ徴候は髄膜刺激症状の一つで、髄膜炎やクモ膜下出血のの際にみられる。
3.〇 膵頭部癌により、総胆管が閉塞し、胆汁の流出が悪くなる。胆汁が胆嚢に貯留し、無痛性の胆嚢肥大を起こす。これをクールボアジェ徴候という。
4.✖ ラセーグ徴候は、髄膜刺激症状や坐骨神経痛を調べる検査で、主に腰椎椎間板ヘルニアで陽性となる。仰臥位で他動的に下肢を伸展して挙上させようとすると、坐骨神経に沿って激しい疼痛を訴え、それ以上の挙上ができなくなる症状を指す。
EPA看護師候補者は1名正解し、1名は選択肢2を選び不正解でした。ケルニッヒ徴候は理解していましたが、ほかの徴候の意味が全くわからず、2を選んだと話します。2が違うとわかっていたら、別の選択肢を選んだ方が正解の確立が増やせますよと話すと笑っていました。
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