EPA看護師候補者教育 ~看護師候補者とともに~
~状況設定問題~
Aさん(35歳 女性)は夫と7歳の息子、2歳の娘と4人で暮らしている。ある日、震度6強の地震が起こり、Aさん家は半壊した。Aさんは、倒れてきた家具の下敷きになるところだったが、何とか免れ、家族は全員かすり傷程度の怪我で済んだ。被災後、家族は避難所である小学校で生活をしている。
【問1】被災して1週間が過ぎた。避難所に派遣された看護師にAさんは「自身の当日は不安が強く、突然怖くなりドキドキしました。考えがまとまらず、夢を見ているような感覚でした。翌日からはだいぶ落ち着き、日々楽になっている感じがします」と話した。Aさんの状態で最も考えられるのはどれか。
1.心気症
2.身体化障害
3.強迫性障害
4.心的外傷後ストレス反応
正答
1.✖ 心気症とは、自身の身体への関心が異常に強く、病気ではないかと過度に思い込み、病院を転々と受診し日常生活にも支障を来すような状態をいう。Aさんには当てはまらない。
2.✖ 身体化障害とは、身体の痛みや異常感覚、ふらつきなどを訴えて受診するが、疾患が見つからない場合をいう。身体表現性障害ともいう。Aさんには当てはまらない。
3.✖ 強迫性障害とは、ある事柄が迫ってきて振り払えず、自分でも不合理とわかっていてもやらずにはいられない状態をいう。Aさんには当てはまらない。
4.〇 被災した後の精神症状であり、心的外傷後ストレス反応と判断される。
EPA看護師候補者は正解でした。震災の問題はボランティアで経験があるそうで得意と話しています。
【問2】Aさんから、「また地震の日のような状態になってしまうことが不安です。大丈夫でしょうか」と看護師に相談があった。Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1.「すぐに受診をした方が良いと思います」
2.「つらい体験は早く忘れるようにしましょう」
3.「誰にでもよいので積極的に自分の体験を話してください」
4.「気分転換にご主人と一緒に家の片付けなどしてはいかがでしょう」
5.「強いストレスを体験したときには、誰もがなり得る正常な反応です」
正答
1.✖ 病院を受診する必要はありません。適切な対応ではないです。
2.✖ つらい体験は忘れることはできないです。適切な対応ではないです。
3.✖ 体験を話すことは重要であるが、今の時点で積極的に話す時期ではない。
4.✖ 家の片付けは、今の時点で行うべきではない。
5.〇 外傷後ストレス反応は、尋常ではない出来事に対する正常な反応であり、誰にでも起こり得る。こうした心理反応は、時間の経過とともに徐々に通常に戻っていく。ただし、回復には個人差があり、援助に際してはこれをふまえておく必要がある。
EPA看護師候補者は正解でした。知識よりも心理を読み取り、どう対応すべきか問われている問題です。一般の方も正解できると思いますよ。
【問3】Aさんから「7歳の息子がおねしょをするようになりました。落ち着きがなくなり、まとわりついてきます。2歳の娘の世話で精一杯なのに、息子に対してどう接したらよいでしょう」と看護師に相談があった。Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.「兄である自覚をもたせるようにしましょう」
2.「スキンシップを多くとるようにしましょう」
3.「息子さんの状態は気にしない方がよいですよ」
4.「なるべく一人で行動させるなど、自立を促すようにしましょう」
5.「怖かったね。でももう大丈夫」など安心させる言葉をかけてください」
正答
1.3.4.✖ 2.5.〇
Aさん同様、7歳の子も恐怖体験をしているため、自分にかまって欲しいという心理状態にある。しかし、Aさんは2歳の子に手がかかるため、7歳の子の世話がままならずにいることから、7歳の子は退行を起こしている。(赤ちゃん返り))安心感を与えることが大切ですね。
EPA看護師候補者は正解しました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。