Aさん(33歳 初産婦)は、妊娠初期の随時血糖値が116mg/dLであり、75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)の結果、空腹時血糖90mg/dL、1時間値175mg/dL、2時間値165mg/dLで、妊娠糖尿病と診断された。家族に糖尿病を指摘されている人はいない。身長158cm、非妊時体重75kgであり、仕事は妊娠がわかってから退職した。切迫流産の徴候はみられていない。食事は1日3食摂取しており、甘いものや炭水化物が好きで、つい食べ過ぎてしまうと話している。食事は1,650kcal/日が指示された。
【問1】Aさんに行う食事指導で適切なのはどれか
1.指示されたエネルギー量のみを守り、好きなものを摂取する。
2.空腹時に炭酸飲料をとるよう指導する。
3.糖質制限を指導する。
4.分割食を指導する
正答
1.✖ エネルギー量のみではなく、必要な栄養がバランスよく摂取できるように指導する。
2.✖ 炭酸飲料は糖分を多く含んでいることがあり、空腹時に摂取するとよいとされる医学的効果はない。
3.✖ 糖質制限食はダイエットに効果があるとされているが、糖質制限の方法はさまざまであり、危険性も指摘されていて、エビデンスがない。
4.〇 食後血糖値の急激な上昇を抑えるために行う。空腹感の改善にも役立つ
EPA看護師候補者は選択肢3を選び不正解でした。分割食をする必要性までは考えなかったようです。
【問2】Aさんは食事のコントロールで血糖値も安定し、妊娠中の体重増加も3kg以内に抑えられ、妊娠38週3日で正常分娩となった。新生児の体重は3,200g、アプガースコアは1分後9点、5分後10点だった。出生時の新生児のバイタルサインは、体温36.8℃、心拍数142/分、呼吸数46/分。チアノーゼなし。抹消に冷感があった。この新生児に優先して行うべきことはどれか。
1.口腔内の吸引
2.血糖値の測定
3.保育器に収容して保温
4.人工乳の開始
正答
1.✖ 呼吸回数は正常で、アプガースコアからも現時点での口腔内の吸引は必要がない。
2.〇 新生児の血糖は出生後2~4時間で最低値となり、その後安定する。妊娠中の血糖コントロールが良好であり、新生児の出生時の体重が相当体重児であっても、母親が妊娠糖尿病であることから、合併症のない妊娠経過をおくった母親から生まれた新生児より低血糖を起こすリスクが高いため、血糖値の検査結果に注意する。
3.✖ 新生児の体温は、出生後2時間で最低値となる。保温に留意する必要はあるが、体温低下やチアノーゼがないことから、保育器に収容して体温を維持しなければならない状態ではない。
4.✖ 出生後、初回の授乳は母乳から始める。この状態で人工乳を補足する必要性はない。
EPA看護師候補者は選択肢3を選び不正解。抹消に冷感があったため3を選んだと話す
糖尿病の診断基準
1.随時血糖値:200mg/dL以上
2.空腹時血糖値:126mg/dL以上
3.75gOGTT 2時間値:200mg/dL以上
上記1~3のいずれかと
4.HbA1c≧6.5%を満たすと糖尿病
妊娠糖尿病の診断基準
1.75gOGTT 空腹時:92mg/dL以上
2.75gOGTT 1時間値:180mg/dL以上
3.75gOGTT 2時間値:153mg/dL以上
上記1~3のいずれかを満たすと妊娠糖尿病
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