EPA看護師候補者教育 ~看護師候補者とともに~

パーキンソン病

 脳の一部に異常が生じることで発症する病気で、中脳の黒質が変性して神経伝達物質ドパミン産生が低下したために不随意運動や自律神経症状、精神症状などがおこります。

 日本では約1,000人に1人がこの病気にかかると考えられているようです。60歳以上では100人に1人となり多くなります。日本は超高齢化社会に突入していますので、ますます増えていく可能性がある疾患です。

 

症状:振戦、筋固縮、無動、姿勢反射異常(四大徴候)動作緩慢

抑うつ症状、幻覚・妄想、認知症などの精神症状。

脂顔、流延、便秘、発汗異常、起立性低血圧などの自律神経症

 

1.振戦:手指では1秒間に4~8回丸薬をまるめるような動きをする。他に下顎・下肢に多い。

2.筋固縮:筋肉がいつも硬く収縮している状態で、患者の腕を伸展・屈曲させると歯車様の抵抗がみられる。

3.無動:動作が緩慢で自発的な動きが少なく、仮面様顔貌や小字症となる。

4.姿勢反射異常:すくみ足、前方側方の突進現象、小刻み歩行。

 

パーキンソン病の重症度

 ホーエン・ヤール重症度分類

1度:一側性パーキンソニズム

2度:両側性パーキンソニズム

3度:軽~中等度パーキンソニズム、姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要

4度:高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能

5度:介助なしにはベッドまたは車椅子生活

 

 生活機能障害度分類

1度:日常生活、通院にほとんど介助を要しない

2度:日常生活、通院に部分的介助を要する

3度:日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能

 

 看護のポイント

1.危険防止:転倒しやすいため、障害物の除去、ベッド周囲の整頓、棚の設置、履物は脱げないもの・滑りにくいものにする

2.日常生活動作の自立:自力動作の程度を把握し、できる範囲のことは自力で行えるように援助する。衣服は前ボタン式等の着脱しやすく、ゆったりしたものを選ぶ

3.排便のコントロール:便秘になりやすいため、必要に応じて緩下剤を使用する

4.リハビリテーション:歩行訓練、頸部や肩の体操、姿勢矯正訓練、呼吸訓練などを行う

5.根気と励まし:動作を見守り、あせらせない。励ましを与え、勇気づける

6.薬剤コントロール:長期服用により、効果の減弱や副作用を生じるため、症状の変化や、血中濃度に注意する

 

パーキンソン病は、看護師国家試験は出題頻度が高い疾患です。EPA候補者はまだ、ホーエンヤール重症度の分類の細かい部分まで覚えていない部分があるので、今月中にしっかり覚えなければならない。

国家試験まで、あと、60日です。悔いのないように支援し、頑張って欲しいです。