EPA看護師候補者教育 ~看護師候補者とともに~

~状況設定問題~

母性看護

 

Aさん(28歳 経産婦)は、前回の妊娠分娩経過は正常であった。身長160cm、非妊時の体重55kg。本日は妊娠35週3日で、定期健康診査のために来院した本日の診察所見は子宮底長30cm、腹囲88cm、体重62kg(前回の健康診査より+1.2kg)血圧は130/65mmHg、尿蛋白(±)、尿糖(-)で、下肢に軽度の浮腫をみとめた。ヘモグロビン値10.5g/dL、ヘマトクリット値32%、尿中エストリオール値25mg/日。乳頭はやや短く、硬めであった。Aさんは「疲れやすいので心配です」と話している。

【問1】本日のAさんのアセスメントで正しいのはどれか。2つ選べ

1.妊娠高血圧症候群である

2.妊娠貧血である

3.過剰体重増加である

4.胎盤機能不全である

5.正期産の時期に入っている

 

正答

1. Aさんは、下肢に軽度の浮腫はあるが、妊娠高血圧症候群の基準を満たさないため、現時点で妊娠高血圧症候群とはいえない。

2. 妊娠貧血とは、ヘモグロビン値11.0g/dL未満あるいはヘマトクリット値33%未満の両方、あるいは一方を満たした場合に診断される。Aさんは妊娠貧血といえる。

3. 非妊時からの体重増加は+7kgで問題ないが、ここ2週間での体重増加は+1.2kgである。1週間の増加量は600gであり、妊娠末期における体重増加の正常範囲である週500g未満を超えていることから、過剰体重増加といえる。

4. 尿中エストリオール値は25mg/日であり、胎盤機能不全とはいえない。妊娠末期においては20mg/日未満は要注意、10mg/日以下は危険域である。

5. 正産期は妊娠37週0日~妊娠41週6日で、正産期の時期にはまだ入っていない

EPA看護師候補者は1名が正解し1名が不正解でした。血圧がいくつ以上を妊娠高血圧症候群というか知識がありませんでした。妊娠24週~35週までは定期健康診査は2週間に1回というのは理解していました。1週間に500g以上体重が増加するのは過剰体重増加ということも理解していました。胎盤機能不全の判断は尿中エステリオール値で決まることは知識はありませんでしたが、他の選択肢で正解と判断したため、胎盤機能不全の選択肢は間違いと判断したそうです。正期産の時期ではないこともりかいしていました。健康診査の通院間隔や妊娠高血圧、妊娠貧血の有無、過剰体重増加の有無、胎盤機能不全の有無、正期産の時期なのか問われている問題で、基本知識があるかみることができます。不正解の人には妊娠高血圧症候群の要点学習をするよう伝えました。

 

【問2】本日実施する保健指導で適切なのはどれか

1.「ビタミンAやビタミンDを多く摂取してください」

2.「昼寝をするなどして、休息に心がけてください」

3.「乳頭マッサージは分娩終了まで中止してください」

4.「分娩用品の準備はまだ急がなくても大丈夫です」

 

正解

1. ビタミンは生体機能を円滑に進めるために重要な物質であるが、貧血のあるAさんには特に、ビタミンB類(B6,   B12)とビタミンCが必要である。

2. 規則正しい生活は必要であるが、疲労を蓄積させないためには、昼寝などで疲労回復をはかることも必要である。

3. 乳頭マッサージをすると、子宮が収縮する可能性がある。しかし、妊娠末期では生理的な子宮収縮である前駆陣痛も生じ、またAさんは現在、切迫早産の症状はないため、分娩終了までマッサージを中止する必要はない。ただし、まだ、正期産の時期ではないため、実施後に子宮収縮を感じるようであれば、状態をみながら実施することが望ましい。

4. 切迫早産などで緊急入院となることも想定し、妊娠22週頃にはできるだけ入院時の持ち物をまとめておくよう助言が必要である。

EPA看護師候補者2名とも正解でした。

 

【問3】児の発育は順調であると医師よりAさんに伝えられた。本日、予測される胎児の状態はどれか

1.体重は約1,800g

2.身長は約35cm

3.爪は指頭に達する

4.現時点で出生した場合、自力呼吸は不可能である

 

正解

1. 統計的な妊娠35週での児の平均体重は、もうすぐ正期産のじきなので2,500g近くになる(男児で2,400g、女児では2,300g)。1,800gでは小さすぎる。

2.✖ 正期産の時期であれば、児の身長は50cm程度である。妊娠35週であれば50cm弱と推測でき、35cmでは低すぎる判断できる。妊娠35週での身長の目安は45cmである。

3. 爪は妊娠第9月末には指頭に達し、正期産で出生した場合は通常指頭を超えている。

4.✖ 肺胞内に肺サーファクタントが完成されるようになるのは、通常妊娠34週頃である。この時期よりも早く出生した場合は呼吸障害がみられる可能性が高いが、Aさんの場合は妊娠35週であるため出生しても自力で呼吸できる可能性が高い。

EPA看護師候補者は1名は正解し、1名は不正解でした。選択肢3の指頭の意味がわからなく選ばなかったそうです。妊娠35週で胎児の体重もどのくらいになるのかわからないじょうたいでした。妊娠週数に応じた胎児の体重の目安を要点学習するよう伝えました。

 

つまらないブログですが最後まで読んでいただきありがとうございます。